痔瘻(痔ろう)の症状と治療

痔ろうとは?、肛門周囲膿瘍と痔瘻(痔ろう)の原因は?

グミにゃん:
痔ろうは、お医者さんの意見が違うのはどうして?
ねこ茶:
理由は分からんが、医師によって見解がかなり異なり、
治療方針も大きく違うのじゃ。
メイにゃん:
じゃあ、どの治療が良いの?
ねこ茶:
難しいのう。
医師の説明を受けて、患者さんが自分で選択するしかないのう。
グミにゃん:
痔ろうは、患者さんが積極的に情報を集めることが大事だね。

「痔ろう」の場合は、病院によって治療方針が大きく異なる

3種類ある「痔の症状」のうち、「痔ろう」だけは治療方法において手術が前提となる病気ですので、早めに診察を受けることをおすすめします。

肛門周囲膿瘍や痔瘻(痔ろう)の症状の人が、まず知っておくべきことは肛門周囲膿瘍と痔瘻(痔ろう)は病院よって治療方針が異なるということです。

ねこ茶は、「社会保険中央総合病院大腸肛門病センター」の元センター長である岩垂純一医師の書籍をもとに、痔についてまとめていたのですが、他の病院のサイトの治療方法、手術方針を調べていくうちに、違うことが書いてある事に気が付きました。

肛門科の専門病院は「患者さんの負担と後遺症」を出来るだけ小さくということを目指しているので、どの治療方針も間違っているわけではありませんが、患者さんによっては選びたい治療方針が違うこともあります。

ここでは、病院による治療方針の違いについて簡単に紹介しておきます。

肛門周囲膿瘍
治療方針の違い
●方針A
肛門周囲膿瘍の段階で患部を切除する。
●方針B
肛門周囲膿瘍の場合、切開により膿を排出し、積極的に痔ろうを形成させて、炎症が治まった後、痔ろうの手術を行う。
●方針C
肛門周囲膿瘍の段階では、切開による膿の排出と抗生物質の投与のみの処置で済ませる。その後の経過観察で、痔ろうが形成した場合のみ痔ろうの手術を行う。
痔ろう
手術方針の違い
●方針A
複雑な痔ろうの場合、「括約筋温存術(くり抜き術式)」による手術を選択する。
●方針B
複雑な痔ろうの場合、「シートン法」による手術を選択する。
※この他にも、痔ろうに関しては病院や医師によって見解が違うことが多いので、自分に合った治療方針の病院を選び、治療を始めましょう。
ADVERTISEMENT

肛門周囲膿瘍、痔瘻(痔ろう)とは? (激痛→肛門周囲膿瘍、鈍痛→痔ろう)

痔ろうの画像
直腸と肛門の境目にある歯状線に肛門腺窩(いんか)と呼ばれる小さなくぼみがあります。

このくぼみに、下痢などのゆるい便が入り込み、さらに奥にある肛門線内で大腸菌などの細菌が繁殖して、細菌感染してしまうと炎症が起きます。

この細菌感染によって膿がたまった状態を肛門周囲膿瘍といいます。 肛門周囲膿瘍になると、激痛と発熱で病院に駆け込む人が多いようです。
肛門周囲膿瘍が自然に治ることは殆ど無く、同じ症状が繰り返されます。

肛門周囲膿瘍の段階での治療は、外来での処置で、腫れている部分をメスで切開して膿の出口をつくり、膿を出します。膿が無くなると、「尻の腫れ・痛み」も無くなっていきます。その後、抗生物質を投与して炎症を抑えます。

切開した場所から膿が出続けるようであれば痔瘻(痔ろう)と判断します。

痔瘻(痔ろう)は、細菌の入り口と、細菌感染によってできた膿が出て行く出口がそろった状態で、「細菌感染(化膿)」→「発熱と痛み」→「膿が出る」を繰り返します。痔瘻(痔ろう)は自然治癒することはないため、手術を受けるしかありません。



肛門周囲膿瘍は、「痔ろう」になる手前の初期症状…(尻が激しく痛む)

初期の頃は、肛門の奥の方に違和感があり、発熱だけという場合もあります。ですが、この状態の時でも既に、お尻の奥に膿がたまっています。

お尻(ケツ)が痛み出してからも放って置くと、肛門の周囲が腫れてきて、激痛を伴うようになります。肛門周囲膿瘍は、出血を伴うことは少ないですが、場合によっては血の混じった膿が出てくることもあります。

肛門の病気の中で、もっとも「尻が痛い病気」とも言われていますから、尻の痛みが小さいうちに病院で診察を受けましょう。

痔ろうの画像


肛門周囲膿瘍の症状
  • 膿が直腸や肛門周囲にたまり、39~40度以上の発熱を起こす。
  • 肛門の周囲が赤く腫れてくる。
  • 肛門周囲(尻・ケツ)が非常に激しく痛む。
  • 患部が破れて膿が出てくることがある。
  • パンツ・下着が、血や膿で汚れる。
肛門周囲膿瘍の治療方法

病院で一刻も早く、肛門周囲の皮膚、又は直腸肛門内の粘膜を切開して膿を取り出してもらう。
膿を完全に取り除いた後に、抗生剤、鎮痛剤を投与してもらう。
その後、経過を観察して、痔瘻(痔ろう)が形成される場合は、痔瘻(痔ろう)を切除するための手術を行う。

肛門周囲膿瘍の原因
  • 頻繁な下痢: 下痢は、直腸と肛門の境にある「小さなくぼみ」に入り込み、肛門線に細菌感染を起こす原因になります。
  • 不規則な生活: 体の体力が弱って免疫力が落ちていると、下痢をした時に、細菌感染が起こりやすくなります。
  • 辛い食べ物: 辛い食べ物は、胃腸の粘膜を荒らし、下痢を起こしやすくします。
  • お酒: アルコールは肛門周辺を刺激するだけでなく、翌日にお腹を下す原因となります。

 

肛門周囲膿瘍は、痔瘻(痔ろう)の前段階
直腸や肛門周囲に膿がたまっている段階を肛門周囲膿瘍といい、たまった膿が自然に排出、又は切開で排出された結果、直腸~肛門~皮膚とつながった管ができた状態をを痔瘻といいます。

つまり、

  1. 「肛門線内で細菌感染」
  2. 「肛門周囲膿瘍」
  3. 「発熱と激痛」
  4. 「皮膚に膿の出口が出来る」
  5. 「痔ろう」
という順で進行します。
痔瘻(痔ろう)は、長期間放置して、細菌による感染を繰り返していると悪性化して癌になることもあるようです。

 

肛門周囲膿瘍の病院に行く前の応急処置
排便をしていないのにもかかわらず、肛門の周辺が赤く腫れあがり、熱を持っている。さらに激しく痛む時は、肛門周囲膿瘍の可能性が高いです。

肛門周囲膿瘍は、炎症が段々広がっていくので、放置すればするほど痛みが増していきます。
肛門周囲膿瘍の一番の特徴は、発熱があることです。お尻の中に膿がたまると、39~40度以上の高熱が出ます。

患部が炎症を起こしているため、絶対に温めてはいけません。温めるとさらに症状が悪化して、膿が広がってしまいます。

■安静にして患部を冷やす:
うつぶせに寝て、タオルの上から「氷のう」や「保冷剤」を患部にあてて、冷やします。 冷やすことによって、炎症が鎮まるので尻の痛みが和らぎます。
※尻(ケツ)の痛みが引いて動けるようになったら、必ず病院に行きましょう。

■お尻・肛門が、かゆくなっても、かいてはダメ:
もし、患部がかゆくなっても、かいてはいけません。かきむしるのが、一番いけません。傷口から雑菌に感染して、症状がさらに悪化してしまいます。
シャワー、入浴、シャワートイレなどで、お尻をお湯で綺麗に洗うのが最も良い方法です。石鹸は、患部を刺激するので、使ってはいけません。

便は、お湯に溶けるので、お湯で洗い流すだけで汚れを落とすことが出来ます。洗い終わって、お尻をやさしく拭いたら、下着はすぐにつけずに十分に乾燥させてから着用してください。

 

肛門周囲膿瘍の段階で「手術」する医師もいる

医師よっては「肛門周囲膿瘍」の段階で、「入院して手術」という方もいるようです。「肛門周囲膿瘍」の段階での手術にはメリットとデメリットがあるので、医師から詳しい説明を受けて、手術を受けるかどうかを患者さんが決めましょう。

※肛門科の専門医の多くは、「肛門周囲膿瘍」の段階での手術には否定的です。

・肛門周囲膿瘍で手術するメリット:
炎症を起こした部分を切除するだけで済むので、痔ろうが形成された場合に比べると、手術が簡単です。

・肛門周囲膿瘍で手術するデメリット:
痔ろうにならない人にも手術の負担が発生します。肛門周囲膿瘍で適切な処置を受けて、抗生物質を使えば、30~50%の人が痔ろうには進行しないとされています。

 


ADVERTISEMENT

 

痔瘻(痔ろう)の症状…(尻・ケツに鈍い痛み、膿、発熱を繰り返す)

痔瘻(痔ろう)は、肛門周囲膿瘍の症状が繰り返され、さらに皮膚に穴が開いて、膿が排出されるようになった段階です。膿の混じった分泌液や、血の混じった膿が、定期的に出てきて、肛門の周りに湿疹や皮膚炎が起きるようになります。

お尻の皮膚に穴か開いて、膿の出口ができると、そこから膿が排出されることで、「尻の痛み」と「発熱」も収まります。膿が出てこなくなると、「高熱」と「尻に激痛」がおき、膿が出てくると熱と「尻の痛みが引く」ということが繰り返し起きます。

※肛門から膿や分泌液などが出る場合は、ただちに病院で診察を受けてから治療を始めましょう。

痔ろうの画像


痔瘻(痔ろう)の症状
  • 肛門周囲の皮膚に湿疹や炎症が出る。
  • 肛門周囲の皮膚に穴が開いて、膿が出てくるようになる。
  • 出口から膿が出なくなると、尻(ケツ)に痛みと熱が出てくる。
  • 感染、発熱・痛み、排膿を繰り返す。
  • パンツ・下着が、血や膿で汚れる。
痔瘻(痔ろう)の治療方法

痔瘻(痔ろう)が形成された場合は、痔瘻(痔ろう)を切除する手術を行う。
肛門科医師は、痔ろうの治療は「100%手術のみ」と断言しています。

痔瘻(痔ろう)の原因
  • 頻繁な下痢: 下痢は、直腸と肛門の境にある「小さなくぼみ」に入り込み、肛門線に細菌感染を起こす原因になります。
  • 不規則な生活: 体の体力が弱って免疫力が落ちていると、下痢をした時に、細菌感染が起こりやすくなります。
  • 辛い食べ物: 辛い食べ物は、胃腸の粘膜を荒らし、下痢を起こしやすくします。
  • お酒: アルコールは肛門周辺を刺激するだけでなく、翌日にお腹を下す原因となります。

 


 

痔瘻(痔ろう)には、単純なタイプと複雑なタイプがある

痔瘻(痔ろう)が形成される際、なぜ肛門線の感染が広がってしまうのか、その原因ははっきりとは分かっていません。ですが、直腸、肛門を取り囲んでいる組織の構造に関係している考えられています。

痔瘻(痔ろう)が形成されると、膿が排出されるようになるので尻(ケツ)の痛みや高熱は収まりますが、いつもお尻から膿が出てベタベタしたり下着が汚れたりします。痔瘻(痔ろう)が形成された状態は、手術でしか治すことが出来ません。

痔瘻(痔ろう)には、いくつかのタイプがあります。社会保険中央総合病院では、痔瘻(痔ろう)を、下記のようなタイプ別に分類しています。

I型:皮下痔瘻・粘膜下痔瘻(痔ろう)…発生頻度は高くない

痔ろうの画像「皮下痔ろう、粘膜下痔ろう」は、肛門括約筋を貫いていない「痔ろう」で、発生の頻度は多くありません。

切れ痔の傷口に便が入ることによって発生することが多く、肛門腺が原発巣でない場合もあります。

 

関連ページ:痔ろうの手術方法

 


II-L型:低位筋間痔瘻…痔瘻(痔ろう)の約6割を占める

痔ろうの画像膿の菅が、内括約筋と外括約筋の間を肛門の方へ、下の方に向かって伸びているタイプの痔瘻(痔ろう)です。

管は比較的にまっすぐ進んで、膿がたまってくると、お尻の皮膚を突き破って出口を作ることがあります。
この痔瘻(痔ろう)のタイプは、痔瘻(痔ろう)の中ではシンプルで、治療も手術も難しくはありません。

 

関連ページ:痔ろうの手術方法

 


II-H型:高位筋間痔…痔瘻(痔ろう)の約1割弱

痔ろうの画像膿の菅が、内括約筋と外括約筋の間を直腸の方へ、上に向かって伸びているタイプの痔瘻(痔ろう)です。

膿の管が、体の奥の方に向かっているので、膿を排出する出口がなく、肛門の奥に違和感や、鈍い痛みを感じます。
直腸が狭くなる「直腸狭窄」が起きることもあり、排便も困難になる場合もあります。

このタイプの痔瘻(痔ろう)は膿の管が体の奥にあるため、低位筋間痔瘻(痔ろう)より手術・治療が難しくなります。
ですが熟練した専門医にかかれば、それほど難易度の高い手術ではありません。

 

関連ページ:痔ろうの手術方法

 


III型:坐骨直腸窩痔瘻…痔瘻(痔ろう)の約2~3割

痔ろうの画像肛門の後ろが化膿して、膿の管が外括約筋を越えて肛門挙筋の下の方に伸びている痔瘻(痔ろう)のタイプです。

「座骨直腸窩痔ろう」とも呼ばれ、患者さんのほとんどが男性です。 痔瘻(痔ろう)の中では、比較的多く見られるもので、肛門の背側が原発口となり、内肛門括約筋・外肛門括約筋・座骨直腸筋の隙間が広いので、深く大きな原発巣が出来ます。
この大きな原発巣から外肛門括約筋を貫いて、左右に痔ろうのトンネルができます。

このタイプの痔瘻(痔ろう)は、膿の管が筋肉の隙間を複雑に走っているため、熟練した専門医にとっても治療・手術が難しくなります。

 

関連ページ:痔ろうの手術方法

 


IV型:骨盤直腸窩痔瘻…ごく稀に発生する痔瘻(痔ろう)

痔ろうの画像膿の管が外括約筋を越えて肛門挙筋の上の方に伸びている痔瘻(痔ろう)のタイプです。
このタイプの痔瘻(痔ろう)は、「直腸狭窄」を起こしやすく、排便が難しくなります。 非常に複雑な、痔瘻(痔ろう)のタイプで、熟練した専門医にとっても治療・手術が非常に難しいです。

手術後の再発率も高めで、場合によっては、手術をしても人工肛門にする必要が出てきます。
痔瘻(痔ろう)の患者さんの中で2~3%にみられる、非常に稀なタイプです。

 

関連ページ:痔ろうの手術方法

 


痔に関するページ一覧は下記のリンクへどうぞ

ADVERTISEMENT