傷口の回復が早く、手術後の痛みが少ない「いぼ痔」の手術法
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グミにゃん:
「結紮切除半閉鎖術」という「いぼ痔」の手術法があるそうだけど? |
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メイにゃん:
いぼ痔手術の「結紮切除術」とソックリな名前ね。 |
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ねこ茶:
名前だけでなく手術法も似ているのじゃが、傷口の処置方法が違うのじゃ。 |
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福にゃん:
「結紮切除術」…………手術後の傷口にガーゼを詰めるだけニャ。 「結紮切除半閉鎖術」…手術後の傷口を丁寧に縫合するニャ 。 |
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ねこ茶:
患者さんの手術後の回復を第一に考えるならば、 「結紮切除半閉鎖術」の方が、優れた手術法じゃ。 |
「結紮切除半閉鎖術」は痛みが少なく、回復が早い、いぼ痔手術法
「結紮切除術」が、短時間(痔核1つに15分程)で終わるのに対して、「結紮切除半閉鎖術」は縫合を丁寧に行うので、手術時間は長くなります。
痔核(いぼ痔)を切除した跡の傷口を丁寧に縫合するため、手術の後の痛み、キズの回復が早いのが特徴です。
縫合の糸は、6週間ほどで自然にとけるため、抜糸の必要もなく、手術跡も残りません。
内痔核(いぼ痔)の手術後に肛門が狭くなることはなく、患部からの出血量も少なく済みます。
「いぼ痔」手術の後遺症が無い、「肛門括約筋保護手術」
「結紮切除半閉鎖術」で内痔核(いぼ痔)を切除する際に、内痔核(いぼ痔)の上にある肛門粘膜を可能な限り傷つけないようにする手術法です。
この肛門括約筋を保護しながら行う手術法では、肛門括約筋を全く傷つけません。
そのため、手術後も肛門括約筋は全くダメージを受けずに、筋肉の損傷が原因で起こる後遺症の心配がありません。
「結紮切除術」の欠点を改善したのが「結紮切除半閉鎖術」
「結紮切除術」の問題点を改善したのが、「結紮切除半閉鎖術」という痔の手術方法です。
「結紮切除術」では、手術の傷口は、縫合することなくガーゼを詰め込むだけだったため、傷口の回復に時間がかかり、細菌感染による炎症のリスクもありました。 そのため、「結紮切除半閉鎖術」」では皮膚の傷だけは残して、肛門の中の傷口をすべて縫合します。
「結紮切除術」では、手術の際の傷口が治るのに6週間ほどかかりますが、「結紮切除半閉鎖術」では3週間ほどで治ります。また手術後の痛みを訴える患者さんも大幅に減りました。
社会保険中央総合病院で「結紮切除術」と「結紮切除半閉鎖術」の手術を受けた人を対象に、手術当日の夜に痛み止め注射を必要とした患者さんの割合を調べたところ、次の結果になりました。
- 「結紮切除術」の場合: 68%(39人/57人中)に痛み止めが必要だった。
- 「結紮切除半閉鎖術」の場合: 7%(5人/68人中)に痛み止めが必要だった。
このように、「結紮切除半閉鎖術」では、「結紮切除術」に比べて、手術後の痛み止めの使用率が1/10にまで減りました。
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「結紮切除半閉鎖術」の手術の手順
1.内痔核(いぼ痔)のある患者さんに麻酔をかける
患者さんを、うつぶせの伏臥ジャックナイフ体位で寝かせて、腰から下の部分に「低位腰椎麻酔」を打ちます。
2.肛門外側の皮膚をV字形に切開する
内痔核を器具で引っ張りながら、肛門外側の皮膚をV字形に切り開きます。
3.肛門括約筋を保護しながら、痔核を剥離させる
肛門括約筋にダメージを与えないように、痔核を粘膜と一緒に剥離させます。
4.痔核を剥離した後に、流入動脈の血管を結紮する
痔核を剥離させた後、動脈血管を糸で縛ります。
5.肛門内部の傷口をすべて縫合する
手術の際に出来た皮膚の傷口は残して、肛門内部の傷口すべてを縫合します。
縫合に使われる糸は、自然にとけるので抜糸の必要はありません。
肛門外側の皮膚の傷口は、患部から出てくる膿などの分泌物を排出するために、そのまま開けておきます(ドレナージ処置)。
「結紮切除半閉鎖術」のメリット
- 手術の傷口が治るまでの期間が「結紮切除術」の半分になりました。 (約6週間→約3週間にまで短縮)
- 手術後に痛みを訴える患者さんが、1/10にまで減少しました。
「結紮切除半閉鎖術」のデメリット
「結紮切除」の手術が短時間で終わるのに対して、「結紮切除半閉鎖術」では傷口を丁寧に縫合するために、手術時間が長くかかることになります。
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