現在、主流となっている「痔核(いぼ痔)」の手術法
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グミにゃん:
「いぼ痔」の手術はどれくらい時間がかかるの? |
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ねこ茶:
「結紮切除術」ならば、痔核1つ辺り15分程で完了じゃ。 |
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メイにゃん:
思ったより、あっという間に終わるのね。 |
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ねこ茶:
ただし、「結紮切除半閉鎖術」と比べると、傷口の治りが遅いから、 医師とよく相談して手術法を選択するべきじゃ。 |
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福にゃん:
「結紮切除術」…………手術後の傷口はガーゼを詰めるだけニャ。 「結紮切除半閉鎖術」…手術後の傷口を丁寧に縫合するニャ 。 |
痔核(いぼ痔)を取り除く手術は、痛み、傷口、後遺症を最小限にする
昔の痔の手術は、ホワイトヘッド手術のように「痔核を完全に除去する」ことだけしか考えられていませんでした。
ですが、現在は、患者さんに手術の後遺症を可能な限り少なくして、肛門の機能を残すことが、痔の手術において、もっとも大切だと考えられています。
また、傷口の痛みや患者さんの負担を最低限に抑えるための配慮した手術が行われています。
痔核(いぼ痔)手術において配慮されていること
肛門括約筋を傷つけない
肛門括約筋は、肛門を閉めたり緩めたりする大切な役割を持っています。
肛門括約筋に大きなダメージを与えてしまうと、便が漏れる様になったり、肛門の締まりが悪くなります。
痔の手術の際には、肛門括約筋にメスが到達しないように患部を切除します。
「肛門括約筋保護手術」では、肛門括約筋を全く傷つけないため、手術後も筋肉の損傷が原因で起こる後遺症はありません。
手術後の傷口はできるだけ小さくする
手術後の傷口が大きいと、痛みが大きくなってしまい、術後に傷口付近の組織が硬くなります。
大きな傷口は、肛門が狭くなる、ひきつるなどの後遺症の原因となるので、傷口が小さくなるように手術をします。
肛門上皮は、小さく切除する
肛門上皮を大きく切ってしまうと、便意の感覚が鈍くなります。 肛門上皮には、排便を感じるための知覚神経があり、便意コントロールに大きな役割を持っているので、手術では小さく切除します。
痔核(いぼ痔)の手術法として最も一般的な「結紮切除術」
現在、痔核の手術の主流となっているのは「結紮切除術」と呼ばれる手術法です。
この痔の手術法では、腰から下に麻酔をかけて(※脊椎麻酔・腰椎麻酔)、痔核に血を送っている動脈を痔核根元で縛り、痔核から肛門の外側の皮膚までを放射状に切除します。
手術にかかる時間は痔核一つ当たり15分程度です。手術中は、麻酔が効いているため、痔核を切る時の痛みはありません。
肛門の皮膚まで切除する理由は、肛門の中の痔核を切除した傷にたまる分泌物を肛門の外にまで送るためです(ドレナージ処置)。
このドレナージによって、膿などの「汚いもの」が傷口に残らず、痔核を切除した傷が早く治すことができます。
手術後は数時間で歩行が可能になり、翌日には入浴もできるようになります。
入院期間は10~14日ほどで済みます。
※脊椎麻酔・腰椎麻酔:
腰部から針を刺し、背骨の中の脳脊髄液の中へ麻酔薬を注射して、みぞおちあたりからお尻・足まで麻痺させる麻酔法です。
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「結紮切除術」の手術の手順
1.内痔核(いぼ痔)の患者さんに腰椎麻酔をかける
患者さんを、うつぶせの伏臥ジャックナイフ体位で寝かせて、腰から下の部分に「低位腰椎麻酔」を打ちます。
2.メスで肛門外側の皮膚をV字形に切り開く
内痔核を器具で引っ張り、肛門の外側にある皮膚をV字形に切り開きます。
3.肛門括約筋に傷をつけないように、痔核を剥離させる
肛門括約筋にメスの刃が当たらないようにしながら、痔核を粘膜と一緒に剥離させます。
4.痔核を剥離した後に、流入動脈の血管を結紮する
痔核を剥離させた後、流入動脈の血管を結紮して、内痔核を切除します。
肛門外側の皮膚の傷口は、膿などを排出するために開けておきます(ドレナージ処置)。
「結紮切除術」のメリット
- 手術後、肛門がひきつったり、狭くなったりしません。
- 手術時間が短くて済みます。
- 手術の傷が比較的小さくて済みます。(※傷口は結紮切除半閉鎖術より大きい)
「結紮切除術」のデメリット
- 結紮切除術では、傷口が治るまで約6週間ほどかかります。
- 傷口に詰めたガーゼがこすれて、手術後に痛みが発生します。
- 傷口に詰めたガーゼを、はがす際に痛みが発生します。
- 「結紮切除半閉鎖術」に比べて、手術後の回復が長くかかります。
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